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■第110話 「音楽に遊ぶ」 2013年1月12日

眠るのが一番 久しぶりの都会の満員電車と雑踏で疲れたせいか、十数年ぶりに高熱の出る風邪を引いてしまいました。ストーブの前でも寒気がするので、おかしいと思って熱を測ると39度以上あり、2日ほど熊の冬眠のようにひたすら寝て治しました。パートナーは出張中でしたので、フレッシュジュースと雑炊やおかゆのような流動食だけで過ごし、仕方なくではありますがダイエットになりました。

病み上がりの時は、屋内に籠もって温まるに限ります。CDからはモーツァルトの『魔笛』のパパゲーノの歌が聞こえてきます。こうして小屋の中で音楽を聴いて楽しむのは、晩秋から早春にかけての窓を閉めて過ごす時期です。初夏から秋の初め頃までは窓を開け放って過ごしますので、自ずとソフィアート・ガーデンの小鳥の演奏会に聴き惚れることが多くなります。

部屋の中で温まってパパゲーノの「パ、パ、パ」を聴いていると、学生時代のことが蘇ってきます。

入学してまもなく、お茶の水女子大学のホールで練習する合唱団に誘われて、雰囲気に惹かれそのまま入会し、卒業まで4年間を過ごしました。昭和20年に東京大学唯一の合唱団としてスタートした「東京大学白ばら会合唱団」です。私がいた頃の団員数は100名を越えていたと記憶しています。男声は東大生、女声は東大生、お茶大生を中心に音大など複数の大学から集まっていました。OBの社会人もよく顔を出して、練習後の飲食の時にいろいろな話を聞かせてくれる、学生にとっては未だ見ぬ社会の接点としても貴重な場でした。

私は入学当時、まだクラシックのコンサートに行ったこともありませんでしたが、団員仲間から誘われて行くようになり、音楽を奏でる楽しみとともに聴く楽しみも知るようになりました。

週二回の練習で、水曜日に「お茶練」と称してお茶大の構内で、土曜日は東大本郷キャンパスの第二食堂で練習するのが通例でした。

雲場の秋に物思うカモ 当然ですが音楽好きの人が多く、また音楽以外にも才能豊かな人が集う、今振り返ると得がたい4年間だったと思います。モーツァルト好きな友人が中心になってオペレッタ風に脚本を作り配役を決めて、全体練習時間の前に何人かで集まっては楽しんだものです。

初見で完璧なピアノ演奏をこなし即興アレンジも自由自在の仲間が音楽の要になってくれ、音楽で遊ぶ楽しさに身を浸しました。私は『魔笛』のパミーナや『コジ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージなどの配役を与えられ、モーツァルトを中心に歌いました。正統派オペラというより、洒落たオペレッタ風のアレンジですが。

卒業後四半世紀近く経った今でも、白ばらの団員、特に同期は交流があり、私は不義理していますが世話役が同期会の写真を送ってくれ、男性は社会的な責任感で貫禄がつき、女性は美しく輝いている姿を見ると、とても幸せな気持ちに包まれます。学生時代に音楽三昧の時をともに過ごした友人たちは今でも学生時代そのままの大切な存在です。

社会人になってからは、後にパートナーとなる人と私は、とある音楽好きの知人男性の誘いを受けて、銀座のジャズバーで閑古鳥の鳴くような日に貸し切りで演奏して楽しみました。ジャズバーですが、ドイツリートなどを歌います。ジャズトランペッターのダンディーなマスターがピアノ伴奏をし、知人男性はヴァイオリン、私は歌、残る男性一人は酒とつまみを手にもっぱら観客となります。(演奏には拍手をしてくれる聴き手が不可欠です)

飛び立った後には小さな置き土産・・・ 今でもその知人とは交流があり、作曲活動や演奏会を地道に楽しんでこられ、私にも会う都度、歌を続けるよう勧めて、自らもプロの声楽家についてトレーニングを続けておられます。ご高齢で体調が思わしくないこともあるようですが、生涯現役で趣味を貫く姿勢には感銘すら受けます。歌から遠ざかっている身としては恥じ入るばかりです。
昔の職場での受賞旅行らしい
パートナーは子供の頃から学生時代にいたるまでスポーツ(野球、ラグビー)はしていましたが、歌や楽器を奏でるといった音楽演奏とは無縁で、演奏に苦手意識があって人前では絶対に披露しません。意識せずに歌っている?鼻歌を耳にすると、 パパゲーノのようなとぼけた味があってユーモラスだと身びいきの私は思うのですが。ただし、聴くことについては私とは比較にならないほど熱心で、大学院生時代から年間50回以上も演奏会通いを重ねてきたようです。音楽関係の知り合いも多く、結婚後も私を道連れに年間20回近くコンサートに通い、また一人で外国に行くときは現地で知人と合流して演奏会に行ったりしていました。私はコンサートにそれほど情熱がないのですが、パートナーと外国に行くときは必ず現地の演奏会に連れて行かれます。

もっぱら聴くことを楽しみとする相方と、歌うことを楽しみとする私とでは音楽の遊び方は異なりますが、趣味を同じくすることによって東京在住時は、音楽を仲立ちとした共通の知人との交流が広まりました。そして軽井沢の小鳥たちと出会い、その美声にほれぼれする環境に身をおいてからは、私も聴く楽しみに目覚めました。

音楽に遊んだ日々を思い起こしている間に『魔笛』の曲も終わりましたので、しばらく静かに薪のはぜる音に耳を傾けることにします。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


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メモ(本文とは直接の関係はありません)
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次回から第120話までは、週一回、週末を目安に更新します。
 
 
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