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■第104話 「灰の話」 2012年12月13日

冬の貴重な彩り 日常生活で草木を燃やす光景は、特別な行事などを除いてはあまり見かけなくなりました。住宅地では焚き火もできませんし、オール電化の普及などで、家の中で直火そのものを見ることも少なくなりました。

草木を燃やした結果として灰が残ります。火のない生活では、灰を見ることも、ましてや灰の利用について考えることもほとんどないと思います。

そこで今回のソフィアート・ガーデン物語は、この「灰」について書いてみます。

毎日の薪ストーブ生活の副産物として木灰が大量に出ますので、私どもは日頃から灰の有効活用を考えて試すなど、灰とは深い付き合いをしています。

ストーブから出る灰は時々取り除いて、蓋付きの金属製のバケツに移しておきます。火が消えたように見えても、灰の中には熾き火が残っていることがありますので、いったん不燃性の容器にストックして、十分に冷えてから利用します。

灰が溜まりすぎると、薪を足すたびに灰が舞い上がって床が汚れてしまいます。また、薪が灰に埋もれてしまうと空気の通りが悪くなり、着火がうまくいきません。そこで余分な灰は取り除いたほうがよいのですが、炉床を保護する意味でも、またストーブの熱を保温するためにも、ある程度の灰は必要ですので、薪をくべる邪魔にならない程度に残しておきます。

春はミツバツツジが美しい 草木灰の使い道はいろいろあります。まず、畑のアルカリ性肥料として使えます。ジャガイモを栽培する場合は、種芋を灰につけて埋めるとよいと聞きます。また、ワラビなどのアク抜きにも灰を使うとよいとか。

ただしシャクナゲやツツジ類など、日本在来の草木の多くは弱酸性土壌を好みますので、庭木や山野草の近くに多量に撒くのは避けた方がよいでしょう。ブルーベリー栽培も同様です。

灰は野良猫や野生動物の(健康を害さない)忌避剤としても多少の効果があります。同様に木を燃やした副産物である木酢(もくさく)も動物の忌避剤になり、消臭作用も期待できます。

野菜クズなどを発酵させて庭の土に埋めて肥料にするとき、この灰と木酢をまぜて消臭します。アルカリと酸が反応してシュワーっと音をたてて泡が立ち、発酵させた野菜クズの臭いはウソのように消えます。木酢だけでも消臭効果が高いのですが、野生動物が掘り返さないように灰を混ぜたうえで土や枯葉をかぶせておきます。

近所の美しいサトザクラ 草木灰は、日々の汚れ落としにも役立ちます。薪ストーブのガラス扉は燃焼の煤で黒くなりますが、それを灰で磨くとピカピカになります。薪ストーブの火が消えて冷えた状態で、ティッシュペーパーに少量の水を含ませて粒子の細かな柔らかい白灰をつけてペースト状にして磨くと傷が付かずに磨き上がります。ついでに磨いた後のティッシュペーパーは着火用にも使えますので、そのままストーブに投込してしまいます。

薪ストーブ生活一年目の頃は、薪ストーブ用のガラス洗浄剤やアンモニア水をわざわざ購入して掃除しましたが、灰が使えることを知ってからは灰掃除のついでに灰でガラス磨きもするようになりました。

灰を水に溶かせば、上澄み液(灰汁:あく)はアルカリ性ですので洗剤がわりになります。酸性の油汚れなどは、灰のアルカリで中和することで落ちやすくなります。きれいに真っ白く燃え尽きた木灰でしたら、灰の粒が細かいため、水で練ってクレンザーとしても使えます。油汚れに重曹を用いるのと似ています。

その他、沖縄そばの麺にも木灰汁がつかわれます。また、焼き物の釉薬としても知られています。

草木灰は、こうしてさまざまな生活シーンで活躍します。日本人の日常生活のなかで、火を燃やすのが当たり前だった時代は、灰や灰汁で食器洗いや洗濯をしたり、重曹のかわりに食品のあく抜きに使ったりと、灰の利用も当然のように行われていました。

今では灰の入手も難しいようですが、昔の生活を知らない世代が、合成洗剤で自然環境を汚したくない思いからでしょうか、灰を購入して洗剤がわりに活用する様子をインターネット情報などで目にします。草木灰は廃棄物というより、自然由来の魅力ある素材として、現代に蘇る可能性を秘めているように思えます。

降灰で車も傷つきます しかし困った灰もあります。噴火による灰です。第81話「自然の脅威」にも書いたように、火山灰はガラス質を含むザラザラとしたもので、車や家を傷めるため大変やっかいです。

吸い込むと健康被害もありますので、降灰のひどい地域ではマスクや灰除けのメガネが必要になることもあると聞きます。

私どもは2004年の浅間山の噴火に遭遇したときは驚きましたが、近隣地域の農作物への降灰のダメージは大きかったものの、日常生活にはそれほどの支障はありませんでした。しかし浅間山麓に住む以上は、いつでも覚悟をしておかなければいけないと思っています。

やっかいものの火山灰も、使い道によっては価値のある資源になります。研磨剤の他、釉薬や壁材にも利用されているようです。

自宅の内装塗料も、火山灰(ゼオライト)を原料としたものを使いました。ホルムアルデヒドや臭いの吸着分解に効果があるとされます。実際に屋内の空気はいつも爽やかですので、火山灰の効果はあるのかもしれません。

こんなふうに、灰のことをつらつらと考えながら、薪ストーブの前で掃除するスタッフMは、舞い上がった灰でまるでシンデレラのようになっております。舞踏会の予定はありませんので、掃除の後は身繕いして、ゆっくりと薪ストーブの火を眺めながらお茶でも飲むことにいたします。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


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