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■第103話 「火の力」 2012年12月9日

霜柱は昼も溶けません この週末の軽井沢は粉雪が舞い、冷たい風に寒さもひとしおです。ソフィアート・ガーデンの土は霜でボコボコと浮き上がり、歩くとザクザク、パリパリと霜柱を踏む音がします。週明けは氷点下10度くらいまで冷え込む予想です。

こんな日は、火の暖かさに心から感謝の気持ちがわいてきます。

わが家には、4種類の暖房器具があります。寒冷地ですので、非常時でも使えるように、複数の種類の暖房を備えています。

まず第一に薪ストーブです。よく乾いた薪さえあれば一台で家全体を温めることができます。薪ストーブは、冬を乗り切るための守り神のような存在です。薪をくべれば、終日氷点下の「真冬日」でも家の中は常時20度を保ちます。少し寒く感じるときは燃えさかるストーブ本体に近づけば、火を眺めているうちに、すぐに身も心も温まります。

薪ストーブは家のほぼ真ん中に鎮座しており、一階と二階をつなぐ吹き抜けの空間を、数メートルの煙突が真っ直ぐに貫いています。煙突も重要な暖房器具で、これによって二階まで熱が行き渡ります。安全な断熱二重煙突ですので、触れても温かい程度で、火災の恐れはありません。

薪ストーブは煙突がありますので換気の必要もなく、いったん火力が安定してしまえば、時おり薪を足すことを除けば、ほとんど手間がかかりません。電気を使わないため、災害時などで停電の発生しやすい状況では特に威力を発揮します。停電のときは灯りの代わりにもなります。

薪ストーブの煙突は真っ直ぐ伸ばすと安全 二つ目の暖房器具は、電気を使わないシンプルな対流式の石油ストーブです。これも停電時の灯りになります。ただし、この暖房器具は換気を行わなければ一酸化炭素中毒の恐れがありますので、その点に気をつける必要があります。灯油は熱効率が高いので、素早く室内を温めたい場合に効果的です。

三つ目は床暖房です。屋外の灯油式給湯器で不凍液を温め、床下に張り巡らせた銅のパイプ内に循環させるしくみです。灯油式であるといっても、給湯器の作動や不凍液の循環に電気を用いますので、停電の時は使えません。しかし家の中で直火を使わず、換気の必要もないため、寝ている間でも安心して使えます。ランニングコストも、電気床暖房に比べれば安いものです。床暖房は、薪ストーブと並ぶわが家のメイン暖房です。

床暖房は、足元をホットカーペットのように「温める」というより、冷たさを感じない程度の微温を保つものを選びました。

軽井沢のような寒冷地での住まいにおいては、床暖房は必需品であり、かけた金額以上のメリットがあると思います。贅沢を好まない私どもですが、床暖房は一階の隅々まで、敷設率がほぼ100%になるように設置しました。二階には床暖房はありませんが、吹き抜けのため、一階の暖房熱が上昇して自然に温まります。

そのほかに電気式のオイルヒーターがあります。軽井沢での生活がはじまってからは薪ストーブと床暖房が主役になったため、普段はめったに使いませんが、親族が宿泊するときの補助暖房として客間で使うことがあります。

薪ストーブは働き者です これらの暖房器具を使うようになれば、屋内の湿度は30%台になります。乾燥による静電気が気になり出したら加湿器の出番です。水を張ったタンクで円盤のフィルターがぐるぐるとまわり、扇風機のようなもので蒸発させるドイツ製の低電力の気化式加湿器を何年も使っています。このような自然蒸発型の加湿器を使えば湿度は40%台で安定します。一日で加湿器の水は数リットル減りますので、冬の暖房による室内の乾燥は、かなりのものでしょう。

この家に住んでからは冬に風邪をひかなくなりました。理由としては、床暖房や薪ストーブは、エアコンと違い喉が乾燥しないこと、また床暖房で足元が冷えないことが大きいと思います。その他にも、軽井沢の冬が心底気に入っている、という気持ちの問題もあるでしょう。

東京に住んでいた頃と軽井沢に住んでからの電気、ガス、灯油などの年間のランニングコストを比較したところ、軽井沢では冬の燃料代はかかるものの、夏場のエアコンがいらないこともあり、薪代を除けば大差ないことがわかりました。四季の自然環境を生かす設計や断熱性能の高い施工の効果も大きいと思います。

パンも火の力のおかげ このところ原油価格が高騰していますので、価格の変動に左右される灯油より、安い石炭が使えないものかと調べましたが、一般家庭の燃料としては入手が難しそうです。

パートナーが子供の頃は小学校で石炭ストーブを使っていたそうですし、ほんの何十年前かは普及していたはずの石炭燃料ですが、今はどうなってしまったのでしょう。いわゆる温暖化対策という名のもとで追いやられてしまったのでしょうか。

電力をはじめとするエネルギー政策が今後、大きく変わろうとするなかで、エネルギーの種類やコストもその影響を受けます。石炭は過去のものと葬り去らずに、国内で自給できる燃料として復活を願いたいものです。

朱雀は火の象徴です・・・ それにしても、ソフィアート・ガーデンの野鳥や野生動物には、全く恐れ入ります。冬の軽井沢で元気に生きているのですから。

人は、火の力を借りることなしには、寒い冬を快適に住まうことも、おいしい食事をいただくこともできません。

同じ地に暮らす他の生きものが身一つで冬を過ごす姿を眺めていると、以前、第13話「学びの場」で紹介した尾池和夫先生(京都大学の元総長)のことばを思い出します。

 「争いなどせずに、みなさん最後はきれいな石油になりましょう」

人間は、生きものとして唯一、火を使わせてもらうことのできる存在です。神聖なる火の力への感謝を忘れずに、いつも心に火を灯し、温かく生きようと思います。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


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