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■第27話 「小鳥の感情」 2012年5月16日

小鳥(カラ類)たちと仲良くなってくると、彼らの性格とともに、その感情表現の豊かさに驚かされ、時に笑いを誘われることがあります。たいていそういう時には、相手がむっとしていることが多いので、「笑う」というとたいへん失礼な話なのですが・・・。

幸せいっぱいの求愛給餌 今日は、ソフィアート・ガーデンの主要なお客様であるカラ類の中でも特に小さな仲間、ヒガラとコガラの話題から始めましょう。

コガラは、第1話「小鳥の性格」でも書いたように、体長13センチと、小さなカラ類の中でも小柄なほうで、かわいらしい白い羽毛に黒のベレー帽と蝶ネクタイのような、しゃれた雰囲気の小鳥です。

高原の鳥ヒガラはさらに小さく、体長12センチです。シジュウカラに少し似て白と黒を基調とした配色で、首には「よだれかけ」などと呼ばれる黒の羽毛があります。

澄んだ空気に良く透る、ヒガラの高く美しいさえずりは高原の森に響き渡ります。あまりに小さいため、私どもは「チビ」(失礼!)と呼んでいます。

実は老練な策士です 頭頂の黒い羽冠がどんぐりのように立っているため「寝癖のような」などと紹介されることも多いのですが、普段は丸い頭をしており、驚いたときや緊張しているときにはとんがり頭になっているように見えます。

きっと、人間も感情があまりにも昂ぶると髪が逆立つという表現があるように、鳥にもそのような筋肉が頭頂部にあり、興奮すると、いわゆるトサカが立った状態になるのでしょうか。

ヒガラは、素直な(?)コガラと違い、ある種のずうずうしさを持っております。体があまりに小さくて軽いので、人間からは子供扱いされて「よだれかけ」「寝癖」などと風貌を評されますが、実は老獪とも思えるずる賢さを備えているように見えます。

手に乗ると、あまりの軽さにこちらが驚く たとえば、カラ類にはフィーダーで「一粒の食べ物を取ったら、すぐにその場を離れる」、「後ろに並ばれると焦る」という習性があります。

誰かが後ろに並べば、やけに焦るそぶりを見せ、何も取らずに場を後ろの鳥に譲ることもあります。その様子はまるで、鉄道の券売窓口で後ろの人を気にしてあたふたと切符を買う遠慮がちな人のようです。

一方、スズメやカワラヒワなどは、後ろで待つ鳥のことなど私の知ったことではない、とフィーダーに留まって食べ続け、席を譲る行為は見られません。

この違いは、パーソナルスぺースへのこだわりの違いからくるように思えます。カラ類は普段は単独行動をとり、スズメは集団行動をとる、ということが、食事を単独でとるか、群れでとるかという違いとして現れているのかもしれません。

メスは比較的大胆です ヒガラはこうしたカラ類の習性をうまく利用して、自分より体の大きなカラ類の先客に対しては、背後から急に飛んで来て、先客が驚いてどいた隙にちゃっかり食べ物を取ったりします。もっとも、嘴の大きさや形状の制約からか、普段はヒマワリの種の入ったフィーダーをあまり利用しません。

脂身が大好きで、小さな牛脂を木の枝に吊しておくと、大きなアカゲラやコゲラなどのキツツキ類と、シジュウカラなどに混じって食べます。小さいながらも図太い性格と頭脳プレイで、上手に立ち振る舞っています。

一方、コガラは人懐っこく甘えたような地声と、あまり人を恐れない性格で、ソフィアート・ガーデンでも、すぐに私どもと仲良くなります。

ある大雪の日、私が自宅で雪かきをしていて、雪を無造作に庭の奥に投げていたら、そこにコガラがいて、私に「乱暴ね!」と注意するかのように近くの枝に止まって、仁王立ちで「ビー、ビー!」と何度も鳴きます。 私も「ごめんね」と謝ったのですが、その小さくて、かわいらしい小鳥が、(彼らから見れば)巨大な私に真っ正面から「注意する」様子がなんだか微笑ましく感じられました。

大人になってからの私の愛読書となっている、バーネット夫人の『秘密の花園(The Secret Garden)』の主人公の、メアリーという気が強い小さな女の子のイメージと重なり、そのコガラを「メアリーさん」と呼ぶようになりました。コガラのメアリーさんは、その後私どもの手に乗るようになり、仲良しになってくれました。

仲良しのパートナーの帰りを待っています・・・ ある冬の日、メアリーさんがいつものように私どもの手に乗り、落花生のかけらをもらって嬉しそうに飛んでいきます。

何回か来るうちに、私は片手に落花生、片手は空っぽにして、両方グーを握り両手をメアリーさんに差しだし、「さあ、どちらでしょう?」とクイズを投げかけます。

メアリーさんは、右手に乗って私のグーを小さい嘴で軽くつつきます。手のひらを開いて、何も持っていないことを知ると、意外そうな表情で、もう一方の差し出されたグーに乗り、同じくつつきます。こちらにはメアリーさんの大好きな落花生のかけらがあります。 「大当たり!」  メアリーさんと私の、両方が楽しめるゲームです。

さらに、また「いたずら心」が出て、ためしに両方空っぽにしてグーで差し出してみました。何度かクイズで慣れているメアリーさんが、一方の手に期待して乗ると、何もありません。次はもう一方の手に乗り、グーのこぶしをつつきます。 「残念でした!」 こちらも空です。

さて、こういうとき、コガラはどのような反応をするでしょう。

メアリーさんは、文字通り頭の羽毛を立てて(トサカを立てて)かなり驚きます。そして、少しむっとした表情で私の手のひらをつついて指を軽く噛みます。噛まれても、少しも痛くありませんが。

期待を裏切られた、という顔でさっと飛び去ります。しかし、しばらくして、こちらが反省して落花生のかけらを差し出せば、またすぐに飛んできて仲直りの印にプレゼントを受け取ってくれます。

第22話「小鳥の友情2」で紹介したヤマガラMくんはプライドが高く、また私どもと信頼関係を築いてきたので、私のいたずらで機嫌を損ねてしまった後は仲直りするまで3日ほどかかりましたが、コガラのメアリーさんはさっぱりした性格なのでしょうか。あるいはもっとしたたかで、落花生をもらえるなら、という現実的判断なのでしょうか。

体中でがっかり感を表現します こうした小鳥の感情は、コガラ以外でも見られます。落花生など彼らの好物のプレゼントを、私どもが切らしてしまっているとき、やむを得ず手持ちのヒマワリの種を差し出すこともあります。

通常、ヒマワリの種は自由に小鳥たちが取れるように冬期の日中はフィーダーに置いてあり、基本的には小鳥たちが好きな食べ物ではあるのですが、私どもの手に来るときはたいてい、ヒマワリよりもっと大好きな落花生のかけらなどがプレゼントとしてもらえるもの、と彼らは期待しています。

ヤマガラは、手に乗ってみて、期待した食べ物(たとえば好みのエゴの実や落花生)がない場合、わずかですが羽冠のトサカを立てるような顔(当惑した様子)で、ヒマワリの種を一粒ずつ嘴でつまんでは手のひらの外にいちいち投げ捨てます。

しまいには、空っぽになった私どもの手のひらや指を嘴でつつき(ヤマガラの場合は、コガラよりちょっと痛い)、「抗議の意」を示したうえで、飛び去ります。そして、好みのものを出すよう、暗に目で要求します。

シジュウカラは一般に人との距離があり、普通は手に乗ることはないのですが、第21話「小鳥の性格」のシジュウからの「ケン」が、何かのはずみで手に乗ったとき、期待した落花生が手のひらになかったため、同じように不機嫌な表情で手のひらのヒマワリの種を全部投げ捨て、手から飛び去り、近くの木の枝から「キチキチキチ」と抗議の声を上げる、という反応を示しました。

おそらくカラ類は、期待を裏切られたときには、共通してこのような感情表現をとるのかもしれません。

カラ類以外の大きな野鳥は、さすがに私も恐いため手に乗せることはありませんし、それほど間近で観察する機会もありません。しかしカラ類の場合は、こうして至近距離で細やかに感情を観察することができます。そうした中で、カラ類の小鳥たちは、かなり複雑な感情を持っており、しかも、ある程度共通した感情の表現方法をとるため、それが種を超えて人間にも伝わる、ということを実感しております。

子供の頃、私(スタッフM)は手乗りの文鳥などを飼っておりましたが、頭を指先で撫でて眠らせると幸せそうに下まぶたを閉じて手のひらで眠る姿に、人間と同じく安心した顔が愛おしいと感じたことを思い出しました。


 『 ソフィアート・ガーデン物語 』 第27話 「小鳥の感情」 
有限会社ソフィアート スタッフM( 竺原 みき )


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