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 ソフィアート・ガーデン物語
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■第2話 「木の雫」 2012年4月11日

春を告げるクロッカス 早春(といっても当地では4月ですが)、地面では落ち葉のふとんからクロッカスが頭をもたげて咲き、水仙の葉があちこちから剣先を出して合図するようになると、樹上でも固く結んでいた木の芽がわずかに緩んで、初々しい薄緑色が見えてきます。
暖かな日差しの中、ソフィアート・ガーデンの明るい広葉樹の下でフキノトウを摘んでいると、どこからかポタッ、ポタッ、と雫の落ちてくる音がします。
雨だろうか、とふと見上げて、青空を背景にすっきりと高く伸びる白い樹肌がその正体であることを思いだしました。ミズキです。この時期はミズキが「水木」であることを最も良く表す季節です。高い木の枝のあちらこちらから、ミズキが吸い上げた水の雫が落ちてきます。

こうなると、誰も季節の流れを止めることは出来ません。やがて何万、何億、何兆という葉っぱがすべての蕾からこぼれ出てきます。
落葉樹はまだ一枚の葉もなく、一見静かに眠っているようにも見えますが、よくよくじーっと見ていると、木の枝の隅々まで生命力を表す色が満ち、木の最も盛んな時期であることがわかります。私にはその色は、その木の紅葉や花の色に似ているように見えます。赤く紅葉する木は枝先が仄かに赤く、黄葉する木や黄色い花の咲く木は枝先に黄緑が浸透していくように見えます。

ヤマボウシにゴジュウカラ シラカバも、この時期さかんに水を吸い上げるため樹液採取をして飲む人もいると聞きます。シラカバの樹液はキシリトールとして有名です。ガーデンにも15メートルほどのシラカバをはじめ、7、8本のシラカバがありますが、ちょっと穴をあけるのには忍びなくて樹液を採取したことはありません。また、巨大なヤマボウシもありますが、ヤマボウシもミズキほど雫は落とさないものの、晴れた日には場違いの水が樹肌を濡らしているのを目にして少し驚くことがあります。ミズキやヤマボウシの樹液については、人間が飲んだりすることは聞いたことがありません。最もミズキなどは樹液がオレンジ色にべったりついているのを見ると、その樹液を飲んでみたいという考えは私にはまず浮かびません。

ガーデンの秋、シラカバ、モミ、ヤマモミジ、カラマツ、クリなど ところで、樹液が食用になることで有名な木としてはカエデがあります。サトウカエデのメープルシロップはよく知られています。
ガーデンにもイタヤカエデやエンコウカエデ、ヤマモミジが複数ありますが、特に10メートルほどのエンコウカエデは厳冬期に小鳥たちに人気があります。

エナガというしっぽの長い、ほんとうに小さなかわいらしい小鳥たちが、カエデのつららの先にハチドリのようにホバリングしながら嘴を当てています。書籍などで調べると、どうやらカエデの樹液の雫を舐めているようです。高い場所ですので直接の観察は難しそうですが、凍結する樹肌の切れ目からシロップが出るのでしょうか。

カエデは、食べ物の枯渇する季節に、小鳥に貴重なシロップを提供してくれるありがたい木なのです。

ドロノキにアオゲラ 余談ですが、私は『五行大義』という陰陽五行論について書かれた書物を、季節変化の現象と意味を考える際に読み返すことがあります。時間変化を木火土金水の諸要素で表した場合、「春」は「木」にあたります。以前は「夏」のほうが樹木の葉が茂り、いかにも「木」が盛んな感じを漠然と抱いていましたが、こうして自然観察を重ねるうちに、葉が萌え出る直前のこの早春から新緑が展開する輝かしい季節にかけては、まさに「木」の生命の最も盛んなときであることに気がつきました。


みずみずしい、という言葉どおりに木々の枝先まで水が行き渡り、さらにあふれ出て、木の雫となって万物に春を告げてくれます。


 『 ソフィアート・ガーデン物語 』 第2話 「木の雫」 
有限会社ソフィアート スタッフM( 竺原 みき )

 
 
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