>> ホーム
 >> 会社概要
 >> 事業内容
 >> ソフィアートの研修
 >> 代表者プロファイル
 >> 研修雑感・コラム
 ソフィアート・ガーデン物語
  >> 序 「案内係のMです」
  >> 第51話〜第60話へ
  >> 第61話「真夏は来ぬ」
  >> 第62話「香りと響き」
  >> 第63話「山紫陽花」
  >> 第64話「職業選択」
  >> 第65話「黄蘗」
  >> 第66話「避暑地の夏」
  >> 第67話「名前の由来」
  >> 第68話「夏の日曜日」
  >> 第69話「お茶の時間 7」
  >> 第70話「学びの回想」
  >> 第71話〜第80話へ

 >> 連絡先
 >> Coffee Break


ソフィアート・ガーデン物語    >>前の物語へ >>次の物語へ

■第65話 「黄蘗(キハダ) −木の薬効−」 2012年7月20日

真夏にキキョウが咲きます 梅雨明け宣言とともに、猛烈な暑さと日差しが何日か続きました。今年一番の暑さを迎えたところも多く、全国的にも体調を崩す人が出るのではないかと思います。

その後は一転して、軽井沢では濃い霧が出て、最高気温が20度を切り、15度前後の気温で肌寒いぐらいです。2日ほどは順調にできた梅の土用干しも、この濃霧では無理ですので、また晴れて暑くなったときまでお預けとなります。

スタッフMは、めずらしく体調が整わないため食べ物を受け付けず、やむなくダイエットを強いられています。

買い物に行けば店先にはおいしい新鮮な食材が山積みになっています。これから一年中で最も賑やかな時期に突入します。豊富な食材を扱う大きなスーパーでは、軽井沢に保養に来た人々が、皆、幸せそうな元気な笑顔で、老若男女、家族やカップルや友達総出でおいしい食卓の相談をしながら、大きなカートに大量に食料を買い求めています。早く体調を整えて、私もおいしい料理を楽しみたいものです。

萩も、秋ではなくこの時期です 私は風邪ぎみの時に葛根湯をたまに飲む程度で、あまり薬を使わないのですが、今回は何か使ってみようかと探したところ、薬局でおもしろい薬を見つけました。「百草(ひゃくそう)」という有名なお薬です。これはキハダ(黄蘗)という木の樹皮にある黄檗(オウバク)エキスだけで作った生薬で、200年以上前から伝統薬として作り続けられ、木曽の山岳修験者のお腹の薬として、多くの人々を救ってきたといわれます。

キハダ(キワダ、とよばれることもあります)は、ソフィアート・ガーデンにも複数ある木です。全国の山地、とりわけ軽井沢のような湿潤な山に自生しております。ミカン科で、アゲハチョウやカラスアゲハチョウの食樹でもあります。

コルク質の樹肌を少し切り取ると、あざやかな黄色の内皮に驚きます。私どもが木を植えるときに、土を掘ると、カーデンの様々な木の根に当たりますが、このとき、鮮やかな黄色い根を見ると、たいていキハダ、もしくはクワです。キハダは材としてもクワに似ており、木工製品でもクワの代用品としても用いられます。ちなみに、クワもキハダも、秋には黄葉します。

この黄色の成分が黄檗(オウバク)と呼ばれる胃腸薬になります。ベルベリンという抗菌・抗炎症作用があり、苦みがあることで有名です。

キハダの内皮はあざやかな黄色 黄檗には目が覚めるほどの苦みがあるため、陀羅尼経という長い経典を僧侶が唱えるときに、眠気覚ましとして口にしたと言われ、「陀羅尼助(だらにすけ)」として、吉野で昔から作られるお薬の主成分でもあります。山地の道の駅などでは、このキハダの黄色い樹皮そのものを売っていることもあります。私どもはガーデンにあるので、買ったことはありませんが、このたび初めて口にして、その苦さに驚きながらも薬効成分を味わっています。

また、キハダと似たような名前で「アオハダ」という木もガーデンにあります。これは自生ではなく、大きな木を植木屋さんから購入して移植したものです。アオハダの木の樹肌はグレーかかっていますが薄いため、爪でこすると青い樹肌が見えます。夏は地味ですが、秋には透き通るような黄葉がとても美しく、赤い実とともに目立つ木です。モチノキ科の樹木として、ガーデンにはアオハダのほか、ソヨゴやイヌツゲ、ウメモドキがあり、樹肌が青みがかったものが多いように思います。

話は変わりますが、このキハダの目をひく鮮やかな黄色は、染料になります。また、ガーデンにもたくさん自生していますが、アカネ(日本茜)という草も、根はいわゆる「茜色」の染料になります。アカネは四角い茎に輪状につく4枚のハート型の葉が特徴的なツル植物です。もし、草木染めの趣味があれば使ってみたいものです。

霧が出ると、とても涼しくなります キハダは北海道にも自生しており、古くからアイヌの民間薬として使われてきたそうです。また、湿気に強い有用な材として、さまざまに使われた貴重な木であることが、キハダのことを記した資料で見ることが出来ます。

この機会に木の薬効や薬草のことを調べたところ、ガーデンに雑草のようにたくさん自生して、普段は踏んで歩いてしまっている「ゲンノショウコ(現の証拠)」という草は、じつは胃腸薬として、この黄檗とともに有名だとわかりました。別名をイシャイラズ(医者いらず)とか、タチマチグサ(たちまち草)とも呼ばれるぐらい、優れた整腸生薬らしいので、来年は、このゲンノショウコを是非とも採取して、お茶などにしてみようと思いました。

木や草のお薬に助けてもらって体調を整えたら、これからの真夏の活動を思い切り楽しもうと思います。

ソフィアート ・ ガーデン物語
有限会社ソフィアート 長野県軽井沢町長倉 2082-4


メモ(本文とは直接の関係はありません)
ソフィアート・ガーデン物語を読んでいただき、ありがとうございます。
次の第66話から8月いっぱいまでは、週2回のペースで掲載します。
主に週のはじめと終わり頃の掲載になります。

 
 
Copyright (C) 2003-2012 Sophiart Inc. All Rights Reserved.